湖荘
- type :
- House
- location :
- 長野県大町市
- date :
- 2021.7
- size :
- 53.00m²
- photo :
- 河田弘樹
本州で一番透明度の高い湖の畔、胡桃の高木に抱かれた別荘の計画である。
湖面までわずか1m、湧き水で満たされた水盤の遠く向こうには北アルプスの稜線が重なる。
クライアントが求めたのは慌ただしい都会の喧騒から解放された簡素な小屋。
屋根は湖にひれ伏すように非対称とし、初めからそこにあったような佇まいを目指した。
間口は2間。土間はトンネル状に山と湖を繋ぎ、夏は濡れた水着のまま語らい、冬は汚れたブーツのまま薪ストーブで暖を取る。
生命力溢れるカラマツ貼りの居間は愚直に湖と向かい合い、移ろい行くさざなみをぼんやりと眺めることも、一歩濡縁に踏み出して湖へ飛び込むこともできる。
窓には、白みゆく朝靄の中で目覚めるように、暮れてからは家族の親密な時間を過ごせるように障子を嵌め、限られた広さの中に友人を招きたいと望んだロフトの窓際には、文机を設けてよりパーソナルな場所とした。
冬の積雪は1mをゆうに超える。
全てが白で満たされ鎮まりかった風景の中、さらに小さくなった小屋の灯りを訪ねるのが待ち遠しい。