206
- type :
- House
- location :
- 兵庫県宝塚市
- date :
- 2021.10
- size :
- 81.95m²
- photo :
- 河田弘樹
兵庫県宝塚市の山裾に位置する集合住宅一室のリノベーションである。あたり一帯に広がる南下がりの地形は十分な陽当たりをもたらし、古くから良好な住宅地として知られている。
斜面地を雁行する住棟配置がそのままトレースされた専有部のフットプリントは、特徴的な凹凸から成り、そのジオメトリーを活かした空間の在り方を模索した。
まず初めに、階段状に折れ曲がる西側の躯体壁を一つながりに取り出し、東向き4面の壁仕上げを羽目板貼りとすることで、1枚の屏風のように浮かび上がらせた。
次にその屏風との距離を図りながら家具と建具を据え、牛の胃袋のように伸び縮みさせながら空間を連続させて、多様なスケールの居場所を生み出している。
桧の床、米栂の壁、栗の建具が生み出す淡い木のグラデーションは、誰の記憶の中にも潜む懐かしい風景を呼び起こす。
街と建築との関係性から導き出した個別解には、不思議と住まいとしての普遍性が漂っている。